新しい医薬品を開発する「医薬品開発研究者」
どんな仕事?
医薬品開発研究者はその名の通り、新薬の安全性や有効性を数々の実験を通して検証する仕事です。素材から新しい物質や成分を見つけ出し、その効果を調べる研究や安全性を確認する試験を行っていますが、新薬の開発には10年以上かかるといわれています。忍耐が必要ですが、実験を通して人の命を守る、社会的役割の高い仕事です。
主な仕事は3つ
医薬品開発研究者の主な仕事は「基礎研究」「非臨床試験」「品質検査」の3つです。基礎研究は植物、動物、微生物、化学物質などから有用な薬効を持つ物質や成分を発見したり、他の物質や成分と組み合わせて新たな効果を見いだしたりする研究です。非臨床試験は動物や培養細胞(生物の体外で人工的に増殖させた細胞)を用いて、開発中の医薬品の有効性や安全性に関する実験のことで、品質検査は製品となる医薬品を製造する過程で、品質に問題がないかどうかを確認することです。
医薬品開発研究者といっても、実験技術員と細胞培養士では仕事内容が異なります。実験技術員は出勤後に研究者と打ち合わせをし、その後は午前も午後もひたすら実験です。退勤前には研究者に報告したり、明日の実験の打ち合わせをしたりします。一方、細胞培養士は出勤後はすべての患者さんから預かった細胞を観察しながら、少量の細胞を別の容器に移植する継代作業を行います。昼食後も退勤時間まで引き続き継代作業をし、翌日の準備や掃除などをしたら退勤します。
向いているタイプ
研究には長い時間がかかり、試行錯誤を何度も繰り返します。うまくいかないこともあるでしょう。そのため、失敗しても最後まであきらめずに粘り強く取り組める人が向いています。また、研究は自分たちで立てた仮説に基づいて行われますが、仮説は1度で証明されるとは限りません。同じことに取り組み、失敗を繰り返すと気分が落ち込むこともあるため、結果を受け入れて前向きに考えを変えられる人もこの仕事に向いています。
意外に思うかもしれませんが、パズルや料理が好きな人も医薬品開発研究者に向いています。研究や実験とは無関係に見えるかもしれませんが、実験する際には手先の器用さや手順に従って実験することが求められるため、細かい操作が必要なパズルや料理と似通っている部分があります。材料を正確かつ効率的に計量しながら料理したり、先の工程を確認しながらパズルを組み立てたりするのが好きな人は、この仕事に向いているでしょう。
やりがい
患者さんから預かった細胞を培養し加工しますが、その細胞は最終的に患者さんに投与されます。細胞は1つひとつ異なり、培養方法を変えることも少なくありません。そのため、慎重な観察と適切な対応が必要です。細胞を扱うのは非常に大変ですが、その分、大きな喜びと達成感を得られるでしょう。挑戦しがいのある、面白い仕事です。